2022年8月16日火曜日

乱丁・落丁・誤字・脱字

 先日、本屋の漫画コーナーにて「乱丁に伴う本の回収交換のお知らせ」が掲示されていました。

 40ページと41ページが逆に綴じられているというものでしたが、その漫画単行本は大手出版社による出版、映像化もされた人気作でしたので、全ロットではないにしてもどこにどれ程の損害が発生するのかと考えるとゾッとしました。印刷という仕事をしている身としてはとても他人事とは思えません。


 印刷は通常大きな紙に数枚分をまとめて刷ります。ページ物(複数の印刷された紙が綴じられているもの)はそれを折って、折って……断裁するとページが正しく並んだ状態になっているようにデータを作成します。これを「面付け」といいます。ページの途中に違う種類の紙が挟み込まれている構成だったり、特殊な仕様のものは面付けがとても複雑になることもあります。乱丁・落丁はこの面付けの失敗か、後工程の綴じの段階での取り違えで発生することがほとんどです。


 弊社DTPデザイン課ではページ物は紙面のデータ作成から面付けまでを担当しています。面付けしたもののサンプルをプリンタで出力し、すべてのページを前から順番に数えてチェックします。作業者が勘違いをしている場合もあるので、必ず他の者とダブルチェックをします。

 他の印刷会社・出版社でも似たような対策をしているはず、それを経てすら人間のすること、100%万全ではないということが恐ろしいところです。


 誤字・脱字に関しては面白い話があります。

 なんと、中世ヨーロッパでは誤字・脱字は「ティティヴィラス(Titivillus)」という名前の悪魔の仕業とされていました。当時は筆写者が手書きで本を作成していたため、誤字・脱字は大変多かったのではないかと考えられます。しかし、それはこの悪魔の悪戯であって、筆写者の責任ではないのです。なんと安易な言い訳でしょう… しかし、Wikipediaによると、ある辞典ではそのティティヴィラスに関する記述に関しての誤記が長期間放置されていた事があるというので、この不体裁具合をみると本当にティティヴィラスはいて、人間が慌てるのを嘲笑っているのではないかとも思えます。


ティティヴィラス(Titivillus)


 閑話休題


 実際の業務では紙面の作成中にお客様と何度も遣り取りをし、最終的に問題のないものであることを確認します。手作業で版下を作成していた昔と比べ、パソコン上でほとんどの作業ができるようになったDTPという環境では、表現できる範囲が広がり作業速度が飛躍的に上がりました。それと同時にデータ管理の失敗やキーボードの誤操作一つで思わぬところにミスが出るようにもなりました。記憶になくとも作業者は自分、言い訳はききません。

 ティティヴィラスの名など持ち出す必要のないよう、これからも正確な仕事を心がけようと思います。


DTPデザイン課  悪魔のせい!なんて口が裂けても言えない



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