デザイン室 チーフデザイナー Tom
印刷業界にいれば当たり前のように使われる専門用語。
しかし、一般の人には何だか分からないネーミングの専門用語がたくさんあります。
そんな専門用語を分かりやすく解説します。
まず第1回目は「トンボ」!
?「トンボ」って思った人もいると思いますが、
上のイメージ写真についている線が「トンボ」です。
名前は知らなくても、どこかで見たことがある気がしませんか?
これなんで「トンボ」って言うの?
それは、この十字が「トンボ」に似ているからだそうです。
・・・似てますかね?
ちなみに、天地左右の十字は「センタートンボ」と言い、
四隅の二重線は「角トンボ」と言います。
この他にパンフレットやリーフレットなどの折り加工を
入れる位置が分かるようにする「折りトンボ」というのもあります。
これは日本式のもので諸外国では「トリムマーク」と言い、
二重線ではなく一重線で表されます。
(イラストレーターの環境設定で「日本式トンボを使用」の
チェックを外すと一重のトリムマークを使用できます。ちなみにこんな感じ↓)
で、この「トンボ」何のためにあるのかと言うと…
1. 多色刷りの見当合わせ
「トンボ」が無いと色がズレて印刷される恐れがあります。
2. 断裁の位置の目印
二重線の内側の赤枠が「内トンボ(「断ちトンボ」「仕上がりトンボ」とも言う)」
と言い、この赤枠で切られます。
ちなみに、青枠は「外トンボ(「製版トンボ」「塗り足しトンボ」)」と言います。
3. 両面印刷の時の位置合わせの目印
言わずもがな、「トンボ」で位置を合わせるので、無いと困ります。
『あれっ?じゃあ赤枠の外っていら無いじゃん!』
いやいや、ここが印刷データ作成に重要なのです!
この赤枠と青枠の間(グレーの範囲)は「ドブ」と言います。
数百・数千枚をまとめて一気に断裁する際に、どうしても僅かなズレがおこります。
この「ドブ」が無いと白地(紙の色)が出てしまう恐れがあるのです。
なので、「外トンボ」まで写真や絵柄を入れることを忘れ無いようにしましょう。
(ちなみに、断裁は外にズレるだけじゃなく内側にもズレることがあるので、
文字欠けを防ぐため内側3mm程度文字を配置し無いことをお勧めします。)
要するに、仕上げサイズより天地左右3mm程度多めに写真や絵柄を配置して、
内側天地左右3mm程度文字を配置しないと覚えておきましょう。
しかし、「トンボ」だけでこれだけの文章量になるとは思っていませんでした。
普段、普通に使っているだけに、こんなに書くことがあるのかと驚きです。
驚きといえば、世の中に「トンボ」と付くものはたくさんあるもので、
水平式クライミングクレーンを通称「トンボクレーン」と言ったり、
旋盤業界では、素材の方向を変えて加工することを、「トンボ」が“クルっ”と向きを変えることから「トンボ」と言い、
他にも、神輿の親棒と脇棒をつなぐ横棒を「トンボ」と言うようです。
あっ!あの夏の風物詩の高校野球にも「トンボ」つきものですね。土をならすヤツ。
ここまで長々と書き付けてきましたが、尻切れ「トンボ」になっていなければ幸いです。